坂本勇人選手のOB

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成田のグリッサンドゴルフクラブは有名人御用達のゴルフ場と言われているが、個室も多くて有名人を目撃する機会は少ない。その日は運良く2人のプロ野球選手と出会うことができた。1人目はボストンレッドソックスで優勝した上原浩治選手。

上原選手が優勝したその年のオフに、私の知り合いと一緒にゴルフに来ていたのである。知り合いの紹介で、朝の慌ただしい中でサインをもらい、今日1日いいことがありそうな予感を持ってスタートした。

12月にしては風もなく暖かい日でゴルフもまずまずの成績で楽しいゴルフをしていた。6番ホールテイーグランド脇の売店で休憩中、巨人軍の坂本勇人選手が売店に走り込んできた。飲み物をを買う為である。

飲み物を手に急いで立ち去ろうとした時、『坂本選手ですよね、サインもらえますか?』すでに彼の仲間たちは12番テイーグラウンドで打つ準備をしている。そんな中、坂本選手は嫌な顔せずサインしてくれたのである。

上原選手のサインを見て『上原さんも今日来ているんですか?』と言いながらその隣に、丁寧にサインしてくれた。サインを済ませ足早に立ち去っていった。

12番のテイーグランドを見ていると仲間3人はすでにテイーショットを済ませている。急いでテイーアップして打った坂本選手のボールは大きくスライスして林の中へ。OBである。

申し訳ないことをしてしまったな。我々がサインを要求しなければと大いに反省したところである。と同時に我々4人は坂本選手の大ファンになってしまった。巨人軍の看板選手があの場面で嫌な顔せず、丁寧にサインしてくれたからである。

ゴルフを初めて50年近くなり、ゴルフ場でサインをもらったり、有名人にあったりしたことはあるが、この時ほど清々しい気持ちになったことはない。

3年後彼は首位打者となり名実共に巨人軍の看板選手になった。